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金城樓へ訪問

11月27日(木)、金沢市橋場町にある老舗料亭「金城樓」さんを訪問しました。

明治23年創業の金城樓さんは、金沢を代表する観光名所であるひがし茶屋街の近くに位置し、伝統ある佇まいが魅力の料亭です。接待や会食をはじめ、慶事・法事など、さまざまな場面で利用されているとのことです。

そこで供されるのは、昔から受け継がれてきた数々の加賀料理。今回は、店主である土屋兵衛社長に、料理へのこだわりやおもてなしの心についてお話を伺いました。歴史を感じさせる館内も案内していただきました。

土屋社長の案内で館内を見学させてもらいました
最も格式高い部屋の一つである鳳凰の間
婚礼や会合、催し物に利用される大広間

加賀料理について

加賀料理とは前田家隆盛を象徴する「餐応料理」と、能登・加賀・金沢の風土に根ざした「郷土料理」が融合した独自の食文化です。

加賀料理のように、地名を冠する地方料理はなんと全国で三つ、「加賀料理」「京料理」「琉球料理」しかないと言われているそうです。

大広間には舞台があり、芸妓さんが踊りを披露することもあります

「饗応料理」とは、客人をもてなすための格式高い料理のことです。江戸時代の藩政期から受け継がれ、加賀百万石の文化政策によって大きく発展しました。金沢城の台所を司った包丁人の文献や、豪華な工芸品の器などがまさにその特徴です。このように、加賀料理の成り立ちには「前田のお殿様の料理」があると教えていただきました。

また、能登の外浦・内浦で獲れる豊かな海産物、厳しい風土から生まれた保存食、加賀野菜や地酒・米など、石川県は多様な食材に恵まれており、この地は日本でも有数の食の宝庫となっています。加賀料理は、こうした地域の食材、多彩な食文化から生まれた「郷土料理」でもあるということも説明してもらいました。

加賀料理はその価値が認められ、国の登録無形文化財に登録される見通しとなっています。

ショーケースには昭和29年から毎年作っている九谷焼の「干支の盃」が飾られています

今回は加賀料理と関わることの少ない学生の視点から様々な質問をさせていただきました。

金城樓さんでは、戦災を免れた金沢に残る文献や技法を生かし、加賀野菜など地元の食材を使った料理で土地の文化と歴史を未来へつないでいるとお話しされていました。

土屋社長は「味・設え(しつらえ)・接客のすべてで“超一流”を追求しつつ、今の時代に合わせて積極的なPRや情報発信を行っています」と強調していました。格式高さと開かれた姿勢の両立を目指しているそうです。

素材にも強いこだわりがあり、能登の魚介や加賀野菜を中心に、生産者と直接つながりを築いています。専用の田んぼや酒米など地域と一体となる取り組みも特徴です。

私たち学生にとって、本格的な加賀料理や料亭は敷居が高く感じてしまいます。若い人たちに加賀料理に親しんでもらうためにはどうすれば良いのか?と尋ねました。

土屋社長は、若い世代へ加賀料理の魅力を伝える場として、婚礼にも力を入れているとお話しされていました。伝統の味に触れてもらえる貴重な機会として、大切に取り組んでいるそうです。

無形文化財登録については、「加賀料理のレベルの高さを国に認めてもらえて、ここからがスタート。加賀料理を定義付けすることができるようになったので、若い料理人たちにも改めて“加賀料理とは何なのか”をしっかり受け継いでいきたい」と話していました。

館内では趣ある庭園を眺めることができます

まとめ

今回の訪問は、加賀料理に息づく歴史と文化に触れ、非常に学びの多い貴重な時間を過ごすことができました。金城樓さんは日本の「和」を感じさせる特別な空間でした。

私たちの年代にとって関わることの少ない加賀料理の魅力をもっと多くの人に伝え、広げていければと感じました。

北陸visionaryでは、これからも石川県の素敵な文化やイベントの魅力を発信していきます。ぜひお楽しみに!

名称料亭旅館 金城樓(きんじょうろう)
住所石川県金沢市橋場町2番23号
電話番号076-221-8188
ホームページhttps://www.kinjohro.co.jp/
Instagramhttps://www.instagram.com/kinjohro_kanazawa/

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料亭旅館 金城樓